TelepathDone

「ザ・ブルード/怒りのメタファー」「デッドゾーン」

デヴィッド・クローネンバーグの映画にいる役者は誰もが「打ち解けない」顔をしている。少なくともある時期までの作品のなかではそう思う。なにかが起こる前から、すでに役者たちはコクーンや粘膜の巣から救出されてきたばかりのような顔をしている。俗悪に…

「けものフレンズ2」2~3話

3話で「海」は早すぎる。画面の前の人間はそう危ぶみ、キュルルたちを乗せるモノレールはそんなことを気にとめない。 見たいのは、スケッチブックにキュルルが絵をかいているまさにその時間だ。それはキュルルが絵をかくひとだと知れたときから抱いていた。…

「どろろ」(2019年)1~4話

視覚も聴覚も嗅覚も発声も奪われた百鬼丸というひとのありように対し、ナレーターが「だが、百鬼丸には生まれながらに視えているものがある。魂の炎、とでも言うほかない。重要なのはその色だった」と言葉を添える(2話)。その視えに対してでは画面がどう取…

「ケムリクサ」1~2話(続き)

Twitterで監督がアップしていた「ケムリクサ」の前日譚集らしい作品を観た。こういったものを観ることが、いったいよかったのか判らない。自主制作版のほうは少なくともまだ観ようとは思わない。関係のあるものならなんでもコンプリートしたくなるという気分…

「ケムリクサ」1~2話

病と称されるしかじかの状況下にある者に、診断者がもし「あなたが今直面している《感じ》には原因がある。その原因とは研究の蓄積と現代の知見に照らし合わせれば、これである。こういった説明は、あなた本人ではけして知りえないし、太刀打ちできないこと…

「ヤマノススメ サードシーズン」5~13話

熱いコーヒーに振り回される6話を経て、10話ではアイスコーヒーと煎餅がおやつにでてくる。コーヒーにお煎餅、って……ゆうかは怪訝そうだ。「まあ、まあ。変わった取り合わせも結構合うものよ~?」とかえで。それにしてもアイスコーヒーなるものをひとはいつ…

「けものフレンズ2」1話

生まれる前から腫れ物扱いだなんてたまらねえよな。私は「けものフレンズ2」も「ケムリクサ」もたのしみにしてた。どちらの1話もよかったと思った。 子供のころテレビで「ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説」というドラクエのアニメがやっていて、モンスター…

「ヤマノススメ サードシーズン」1~4話

アニメ作品でばくぜんとこんなことが起こってほしいなあ……と思っていた出来事にいきなり迫られて泣いちゃう。思いなおすと、必ずしも私はそういうのを期待してきたのではなかった。ただ、観たあとで、ううん、こういうことがほんとうにアニメ作品で起こって…

今日の日記の後半に載せたものは去年6月にかいて未公開にしておいたもの。 ところで「早送り」と「複窓」(べつべつの動画再生ページを複数立ち上げて同時に鑑賞すること)とでより強く抵抗感を引き起こすのはどちらだろうかと、動画配信を観ながら考えるこ…

ジェリーという名を二度とは言えない

散文において、一文ごとに文末を変えたくなる意識がある。つまり「~だ。」でひとつの文を終えたなら次の文は「~である。」「~と思う。」「~だろう。」等々のバリアントを駆使すべきであり、「~だ。」に続けて「~だ。」形で終えるのは芸がない……ともし…

「この世界の片隅に」(2016年)

いま観ている途中です。時間的には前半が過ぎようとしているところです。見えたものについてだけかきます。 首をかしげて困り眉で照れ笑いするキャラクターの絵がちょくちょくでてくるようです。キャラクターといま言いましたが、実際はほとんどすずさんです…

「ムーンライズ・キングダム」(2012年)、「マップ・トゥ・ザ・スターズ」(2014年)

うるさいな、と思ってしまう。べつに深い含意はない。しかしたしかに自分の最下層にはある感受性に尋ねるとそう言われる。「ムーンライズ・キングダム」という映画に対して、直観的に絵がうるさい。最初10分ほど感激し続けていたことが以後、重荷として帰っ…

「北北西に進路を取れ」(1959年)

観ていて、まず自分がパニックになりかけるのをおさえるのがむつかしかった。ショックだ。これは、なんなのだろうか(映画ではあるのだと思うけれど……)。

「フェノミナ」(1984年)

音楽の無神経さは散々言われてるようですし私が今更言うのは酷だなと思う。ヘヴィメタルがホラー映画にどれだけ片思いしていようと、ホラーはメタルなんて劇伴に必要としてないのがよく判ります。Iron Maidenがこれほど無残に流れる場所なんて観たくはなかっ…

「わらの犬」(1971年)

もちろん「意に沿わない発言に対してすぐ言い訳だと言うのをやめろ」という注意はもっともで、私自身、言い訳という表現はもうすっかり汚染されて使われて長い言葉だと思う。その上でしかし、見苦しく、また強行的にかいていくならば、言い訳というのはこう…

「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013年)

音楽は、ケンタウルス座の方向にあるそうです。 都会暮らしの吸血鬼のおはなし。昼間の出歩けなさに人目をはばかる取り引きがくわわるとマフィアものの穏やかさが、「人間は害悪だがやつらの文化は嫌いじゃない」性が高まるとロードムービーの気だるい享楽が…

「女の子よ死体と踊れ」(2015年)

あーーーーーーこれがアニメで制作されてたらな~~~~~~~~って思ってしまいました、ごめんなさい。「トレインスポッティングのケリー・マクドナルドがあの制服のまま百合学園映画でてくれればよかったのに」くらい無茶な要望ですまないんですけど。 死…

「眠る男」(1996年)

映画を観ていてカメラをこれほど真剣にこわいと感じたのは初めてかも知れないと思いました。 ティア(クリスティン・ハキム)がスナックのカラオケで歌っている最中、突然店が停電になる。「すぐ点きますから」と店主らしい男性が客に説明し、事実、電気はす…

続き(「スキャナーズ」)

昨日の日記で一度立てた自分の考えに今日は反発してみたい。昨日の記述では、スキャンする者とされる者(=原因と結果)との区別が、役者の顔の演技を追うことで割合と観ている側にもつきやすいような言い方を私はしていた。しかし、映画をリアルタイムで観…

「スキャナーズ」(1981年)

ヒューム的な映像上の問題がある。眼を見開いた人物Aがバストアップで映っている。すると、次のカットで映る人物Bの顔色が変わっていく。人物Aは顔の肉を震わせ、あるいは悩ましげに、あるいは歯を食いしばる。人物Bはそれに呼応するように顔を固め、あるい…

「ザ・デクライン」(1981年)、「ザ・メタルイヤーズ」(1988年)、「ザ・デクラインⅢ」(1998年)

LAのパンクとヘヴィメタル(まあ、ほぼヘアメタルです)を追ったドキュメンタリー。地区をLAと区切ってさえジャンルを総体的にまとめた記録映画とかではまったくないので、出演バンドやコミュニティーの選択、偏りが激しいのはしかたない。netflixに三部作全…

「キャロル」(2015年)

まっとうな感想は省子さん(http://ichigocage.hateblo.jp/entry/2016/02/17/235213)がかいてくださってますので、読んでください。私、アビーいいなあ、すきすき、と観てましたから彼女にもふれてくれてうれしかった、と言っておきます。 後ろ姿のいい絵が…

「新幹線大爆破」(1975年)

作戦決行前のアジトで、沖田(高倉健)と古賀(山本圭)が会話をしている。劇中でこのシーンの身分は「回想」であり、なおかつ、語りの性質は「もしこれが成功したら」という犯人たちの未来の算段でもあるから、ここは、ねっとりとした(敗北の)抒情=予兆…

「ザ・マスター」(2012年)

カルト組織にとって最もあってはならないこととは「リーダーが転向してしまう」ことに違いない。それに較べれば組織が滅ぶのも繁栄するのも商売のなりゆきにすぎない。もしカルトのリーダーが「ほかに大事なひと」を見つけてしまったら、そうなったなら、メ…

「HOUSE ハウス」(1977年)

終盤、クンフーが「あっ 唇が……大きすぎる……!」と叫ぶ。クンフーが見ているのは、巨大な唇だ。それがしゃべっている。ガリ、ファンタ、クンフーの前に屋敷の怪異がいよいよあらわになり、セットは使い潰されていく。ところで「唇が大きすぎる」というのは、…

「女囚701号 さそり」(1972年)

咲で言えば──と脳内キャスト会議を始めかけてやめた。悪魔のリドルのほうが向いてるかもな、と思う。いずれにせよ見開きカラーで敵チームが練り歩いてくる場面の二番手にいるのは片桐(ここでの横山リエはちょっとパンダに似てる、かわいい)で、彼女を狼狽…

「ウォーキング・デッド」シーズン2、1~6話(2011年)

軍人上がりの、麻薬常習者の、ほれぼれするほど自己陶酔的なメルル・ディクソンも、ひとつ正しいことを言った。崖をよじのぼってはすべり落ちる弟・ダリルの、朦朧とした意識の前に、行方不明の彼は幻想としてあらわれる。あざわらいながら、弟を罵倒する。…

「ウォーキング・デッド」シーズン1、1~6話(2010年)

ステレオタイプな黒人蔑視、アジア人軽視、女性憎悪、無邪気な役割分担、etcにあらかじめ反省的な構えを鑑賞者に見せておきたいシナリオがある(批判とも言えない、ほんのささやかな味つけ程度でしかないにしても、たとえ:たかが:その程度でも)。しかしそ…

「リミット」(2010年)、「キャビン」(2012年)

思うに、「リミット」は館ものの機微を受け継いでいるだろう。映画が始まる。主人公は暗闇で目覚める。どうやら自分は、狭い室内に閉じ込められている。なぜか手元に残されていたライターや携帯電話のライトを頼りに周囲を照らしていくうちに状況が見えてく…

「ミーン・ストリート」「グッドフェローズ」「ドアをノックするのは誰?」(マーティン・スコセッシ)

「ミーン・ストリート」の言語観に敬意を表して、私も自分の口と手を汚して言うならば、ここでのロバート・デ・ニーロは嫌になるほどイギリス顔だ(お望みなら、「英国」顔とでも)。イギリス顔とはイギリス人の顔のことではない。90年代UKロックバンドの有…