言い訳要らずの反故──前川佐美雄『大和』

ナガノはちょっと歌ってはやめ、またこわごわ歌い直すことをくりかえす。ひとつの曲をさいごまで歌いおおせることができない。 「歌えるようになるといいね」 「うん」/雪舟えま「とても寒い星で」、『凍土二人行黒スープ付き』 「着いたあとでそこが目的地…

1971、Portrait in Negation──近藤和中『帰ってきたエルンスト』

舌打ちは自分が傷つくからやらない、とある配信者が言っていた。 ほんとうにそうだと思う。 桜を湯がく できないなんて/暮田真名「川柳メイキング04」 もうこんな・は嫌 又三郎ざあざあやみを鳴らしてくれる/とみいえひろこ「うろ」 水映すテレビの光あお…

阿部完市15句抄出(『阿部完市俳句集成』から──『軽のやまめ』以前)

鏡・旗・後頭部にある正確な心/阿部完市『証』 僕を売るごくごくごくと鈴飲んで/『絵本の空』 ひろがりひろがる青の信号だらけの海 ローソクもつてみんなはなれてゆきむほん かるい百人朝空からおりてはたらく/『にもつは絵馬』 心のところに青い寺赤い寺…

秋元不死男・平畑静塔の10句抄出(『現代俳句の世界13』から)

驟雨が来波間の少女色かはる/秋元不死男『街』 神の指かくまで花を発しける/『瘤』 佛像を蟻の一匹出没す 蔦巻く家へ悲劇の方へ一歩づつ 霰打つ模型の鮨をめがけては/『万座』 優曇華をおおと穢む男かな ※穢(きたな) 風花の弔旗へさはれるを数ふ 滝鳴ら…

あや集りはだ玲の倒め

☆「あや集りはだ玲の倒め」(8首)https://drive.google.com/file/d/1iuePfybOaNqd2_UcoBm9n5GrH-nkJfd1/view?usp=sharing

名に関するひとつの引用(ある本から、秘匿的に)

宇治の入道藤原師実の館に「うれしさ」という名の端づかいの女がいた。身分の低い女であったろうが「うれしさ」とは奇妙な名である。用があって呼びつけるとき、師実あたりはどのようなおらび声で「うれしさ」と声をかけていたのであろう。よばれた方も、い…

資金があればまた違ったろうね、いろいろ とはもちろん思うけれども。 でももうそれはいい。 それより、たとえば志路遺耕治の、たしかに褒められたものではないだろうやけくそな一夜のマラソン=詩作が「60年代詩」という暑苦しく、暗く、あんまりにもあんま…

「VAMPIRE=SUN」(仮の誌名)

「まだいるな、『魂』とかほざく奴がさ」(岩尾忍「0cal soul」)。どんな正当性も主張することなく、私にとっての前衛短歌とは「魂」を「ほざいたやつ」からの通信です。「たましひ」という語彙を自分の歌にじかに入れることを恐れなかった者のことで、「た…

なとりの絵にあなたがいない──不在判決でも有在判決でもなく

「アンソロジーを編む」という行為一般の急所として、編者自身が実作者である場合、自分の作品にどう対応してみせるのかというのがある。ほかでもない自分自身の作品をもアンソロジーのなかにひとつの糧として収録するのか、しないのか……という手つきはその…

そういえばテストプレイヤーさんとか除いてとくにゲームについての反応というかはなかったと思うので、あれプレイしたひとって実在するのかしら?とあやしむくらいだったんですが、知らないかたがダンチェ・アルアルチカをプレイされてたの見て、あ、ほんと…

万引きの夜のことをまだ忘れられないのなら

読者を不安がらせたいのでないけれど、私の不安を少しあずけてみたい。いったい、ひとは、「vtuber業界全体のイメージ」などという切り口から本気でなにごとかをかきだしていくことができるのだろうか? そんな切り口から始めようとする書き手の思いなど私は…

マスコットは生成される

金剛いろははつい最近、適切にも「シロ語」への思いを述べてくれていた。 おほほい!っていう言葉は・・自分を奮い立たせる魔法の言葉なんで・・ 使っていきますよ積極的に (金剛いろは「【麻雀】1位になりたいのーーーーー!!!!!!」、2019年。https:…

群衆のなかで自分の孤独をたしかめること──いかに使い古された比喩だろうと、ひとりにおいてかくことの高貴は相変わらずそこに宿るのに違いない。 SNS、Twitterをそういう意味で高貴に使っているひとがたしかにいるし(高貴じゃないひとはよくないという意味…

歌のネグリチュード、短歌のノン・ネグリチュード

「詩的だね。」と思いきって言った。 「それは、」と間木は横を向いたまま応えた。「絵を悪く言うときに使う言葉だ。」 (安部公房「水中都市」p.249、『水中都市・デンドロカカリヤ』、新潮文庫、新潮社、1973年) 詩は、人間が言葉に臨んで執り行うひとつ…

累世号は脚をくじいて

☆「累世号は脚をくじいて」(7首)https://drive.google.com/file/d/1UP7xq0ITZjDDPQU3RlZkgg05CLnUwuQH/view?usp=sharing

音楽のお好みテープつくってきたよwww.youtube.com マジカル をテーマにポップ/フォーク/ポストロック/エレクトロニカから自分のお気に入りとにらめっこして拾っていたけど途中からゆるゆるです ほかのひとも↓から曲追加できる筈なのでいやいやこれ入れなき…

風が風を……

現代詩をひとはどこから読みはじめるのだろう。 私には、ふたつのルートがあったと思う。ひとつはウラ・アオゾラブンコやひそやかに綴られた読書サイト、「いん・あうと」「鐘楼」で小笠原鳥類がかいていたあんなにすばらしい詩の話を頼りにして・・・つまり…

千のセメントになって

https://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/228_21664.html「セメント樽の中の手紙」(葉山嘉樹)は、小学校の教科書で私も読んだと思う。 そして、それについてこう言ってみたい気がする、モーリス・ブランショが日本の教科書に載ってなくとも葉山嘉樹は…

嫌いたいんじゃないけど欅坂46の歌の作詞にはうーんうーーーーん・・・・といつも賛成できなくなります。有線で流れてくる黒い羊であれガラスを割れ!であれ。おそらく「動物」の取り扱い方が不愉快です、私には。犬や羊を人間化して傷つけるくせに、それで…

継承=後遺症

冬の間、次のツイートを繰り返し参照して考えていた。「詩人は貧乏や逆境に強い」という旨の朝日新聞の記事での野村喜和夫さんのコメントを読んで、「うーん」と首を傾げている。実際、強い人もいるだろうが、それは「詩人」の属性ではなく、世間が「詩人」…

日中、お金のことで頭がいっぱいになる。そんなことは「あってはならない」。「あってはならない、そんなこと」がこうして・・・容易に取り憑く訳だ。「死なないぞ」(大林明彦)と頭で軽はずみでなしに思うほど、あらびきソーセージパンとしての生の逆境が…

「……経済は、けっして現在を考えることはない」(ジョルジュ・バタイユ、山本功訳「実存主義から経済の優位性へ」『ジョルジュ・バタイユ著作集 戦争/政治/実存』)。コールバーグ=ギリガン論争に引きずられたせいもあるのか、「ケアにおけるバタイユ」と…

ウラ・アオゾラブンコってよかったと思うんですよ。 禁欲的に紹介だけに徹してたのがよかったし貴重だった 作品鑑賞とかなしに、ただただいろんな作品の「すごいからだ」が凝縮されて引かれてた露呈していたその画面の前にすきなだけ留まっていることをゆる…

無意味について、あるいは無意味という標語について

作品の絶対的な「無意味さ」を称揚することで、ずいぶんと儲け、美味しい思いをしてきた感性上の流れがあったと私は今も思っています。この作品は無意味だからいい、と作者が自ら言う場合もあれば、受け手が言う場合もあります。見当違いで水準の低い「解釈…

フォント=クリフォト

「フォント=クリフォト」(8首)https://drive.google.com/file/d/1drrViSfCujLZftHfTzuM1v86vh7zEOI7/view?usp=sharing

月にしてみればUnderclass

「あなたが泣き叫ぶ」と誇り高い目撃者は書いてよこした それは そうかもしれなかった わたしは、 幽閉をされた 桜木町慰めない 1 to 9 ブルーレット広場から じゃきるとわん くわん わん わんと「はさきのこぼれ」た口で言い、 前髪さくらんぼで揃えたふり…

サラエヴォ Kero Kero Vanito マイクパフォーマンス

「あまり私たちで遊ぶな」 それから2かたった、2かたった 奨励賞「水府」は 新人賞「首府」より どこから読み始めてもかまいません、は てんいんさんがいすにすわってはたらけますようにどうか、より カアイイは そこらへんの本は読んでます大体 より まし …

無抵抗を認めない(ホッブズのリヴァイアサンから)

自分の意志に反して「からだ」は勝手に自分の命を守ろうとする、ということの機微が『リヴァイアサン』(トマス・ホッブズ)のページの隅から漂ってくる。とはいえ、それは確実に気配のようにも嗅がれるものであって、明かされてかかれているものではない。…

まねること あまいこと

アニメ映画を見た。 自殺用品店を営む家族のお話。 悲しくないお話だった。 「愛は万有引力」だって。 以上です。 (何かが起こりそうな夜だ「スーサイド・ショップ」、https://yoruno-picnic.hatenablog.com/entry/2019/01/13/171744) すっごくかんぺきな…

生まれていってきたことに/Where me and the vultures live

燻製卵はるけき火事の香にみちて母がわれ生みたること恕す/塚本邦雄*1 生きてきていれば、一度や二度は反出生主義者になるもんじゃないかとも思う。片割れでも。なんでも。誰でも、とうかつにも言いかけ、やっぱり新品のように恥ずかしい訂正線を手でにぎっ…