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金髪・ピアス・座敷童子

気散じ

 連載中の「2KZ」(長田佳奈)、最後、ユータさんとトラさんの会話のうちに座敷童子の最小の定義が示されていた。住む家に富や福をもたらす者という座敷童子の一般的な理解をトラさんは自ら否定するけれど、その否定をユータさんは否定、というには少しばかり空を見上げすぎるような感じで座礁させてくれる。座敷童子に対する新しい見解がそれとなく語られ、そこではむしろ誰もが座敷童子になりうるところまで話法が響いてしまいそうだ。かまう者がいて、かまわれる者がいる、と、貧富論がその地点でむずむずと座礁するとき、思いは「幸腹グラフィティ」のことに向かうだろう。
 どうやら四月には「2KZ」の単行本が出るらしい(http://www.amazon.co.jp/2KZ-ぶんか社コミックス-長田-佳奈/dp/4821176963)。うれしい。また『メバエ vol.3』には長田佳奈の百合短編が掲載されているとのことで(https://twitter.com/osakana_work/status/538330240330649601)、そのうち読まなくてはいけない。


 同人誌を取り寄せてみる。サンプルで気にかかった相摸の『星がとけていく』(http://aikodesyoi.blog91.fc2.com/blog-entry-232.html)。これはすばらしい。コタツと宇宙の艦これ本ということにはなる。表情レベルで足を崩す赤城さんが、一方語りのレベルでは遠いところへ行く。空の遠く遠くへ赤城さんが「夜逃げ」しようとするほど(「夜が毎日続けばいい」「毎日空が晴れたらいい」)、照れ線や口の曲げ方の微細で心の崩れを伝える加賀さんの地上性があらわになってしまう、と書いてしまえば手のまわりに散らばる星や綿毛のような光について取り逃がしてしまうかも知れない。
 窓を拭く手(それは誰の手)。「お茶を入れてくれましたね」の台詞がまたぐふたつのコマ。雪の上の大の字。

「あまのがわ、見れますよーに♡」という、桃子2006年の七夕の願い。これは、外れ得ない願いごとである。というより、願いごとを必ず叶えるための、秘術のようなものだ。
(「七里結界鼻つまみ」2009年4月14日)

 たしかに願いごとはしばしば空に向かう。としても、相手の願いごとを叶えるために自分が星になる必要はない、ということを加賀さんは訴えてくれる。いや、願いごとを叶える一瞬、その都度、自分が相手にとっての地上の星になるということだろうか。「ほしのこ!」(matoba)のことを少し思い出している。

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