「ミーン・ストリート」「グッドフェローズ」「ドアをノックするのは誰?」(マーティン・スコセッシ)

 「ミーン・ストリート」の言語観に敬意を表して、私も自分の口と手を汚して言うならば、ここでのロバート・デ・ニーロは嫌になるほどイギリス顔だ(お望みなら、「英国」顔とでも)。イギリス顔とはイギリス人の顔のことではない。90年代UKロックバンドの有象無象とその悪夢の言行録……「誰それは誰それを気に入ってる」「あいつはやつらを見下してる」「見てろよ、今度のシングルは……」「けど俺ら以上にロックしてる連中はどこにいる?」……エゴ&ゴシップにまぶたを吊りあげられてもう帰れないdecadenceの形象化だ、言ってみれば。デ・ニーロのそんな造型に巻き込まれてこの映画の共演者までもが全員イギリス顔に見えてくる(ほかの作品でのハーヴェイ・カイテルなどを見るととくにそう思う)。それにしても、雨を降らせない映画だったな。