「ウォーキング・デッド」シーズン1、1~6話(2010年)

 ステレオタイプな黒人蔑視、アジア人軽視、女性憎悪、無邪気な役割分担、etcにあらかじめ反省的な構えを鑑賞者に見せておきたいシナリオがある(批判とも言えない、ほんのささやかな味つけ程度でしかないにしても、たとえ:たかが:その程度でも)。しかしその構えは同時にもうひとつのステレオタイプ、ジャンルムービーが育んできた慣習とかたく手を結んでいる。下ネタをたのしむ女たちの談笑を後ろで煙草をふかしながら見張っている無能な夫の末路にしろ、粗暴なギャングと見えた者たちが実は……というくだりにしろ、軍人上がりの自分に陶酔しきった白人男性の扱いにしろ、「誰にも好かれないクズが殺される」「不運な事故として嫌なやつは置き去りにされる」「強面のヤクザにも善人のパーソナルが発掘され、名誉が回復される」といった諸帰結で予約されている。ステレオタイプをやりこめようとして、べつの水準のパターンを活気づかせている。口ではどうこう言おうと、すかっとするシーンは、そこで安んじて取り戻される。ここでなんと言うべきか(と、小泉義之的な口ぶりを借りて私も反省しておく)。