「眠る男」(1996年)

 映画を観ていてカメラをこれほど真剣にこわいと感じたのは初めてかも知れないと思いました。


 ティア(クリスティン・ハキム)がスナックのカラオケで歌っている最中、突然店が停電になる。「すぐ点きますから」と店主らしい男性が客に説明し、事実、電気はすぐに点く、状況としてはただそれだけのシーンの筈なのに、この映画のなかでは、とても普通とは思われない点きかたをする。そして、私には、この映画のカメラ自体が最初から最後までずっと、「とても普通とは思われない」ありかたをしていると思う。