最近見て、なにかしら胸にふれた動画について

  • 伏見ガク

 ガクくんはずっとちょいちょい見てます。今ちょっとすきなのはそのガクくんが始めた「津々浦々のおともだち」ってコーナー。

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 ガクくんの配信を見ている人間「以外」のリスナーからのお便りをつのる、という趣旨。ということでゴリラやら恐竜やらがアクターとして熱い応援メッセージを送ってくれます。それもたのしいんだけど、私にふれるのは、ガクくんの言葉で言うと彼の「身内」からメールが送られてくるときです。数珠とかキリンのぬいぐるみとか……ガクくんが身に着けていたり家に置いていたりするものが、ガクくんファンとして彼にメッセージを寄せてくれます。野暮に言ってしまえばそれらだって人間のアクターさんたちによる共犯的な騙りなんですけど、でも、ガクくんの身の回りのものにことよせてリスナーがメールを送ることには思った以上のなにかがないでしょうか……。ガクくんが愛着をもっているものの口を借りてリスナーが彼への思いに乗り入れる語りは、すきで聴いている配信者の生活環境にいたずらのようにまでしても働きかけざるをえないところがあって、「津々浦々のおともだち」という企画はそういったコメディとロマンスの間でうやむやに流れていく、軽いうずきごと受け入れてくれるようです。自分宛てのおたよりを本人が読み上げる、というラジオ番組由来の原初的な命運がそこに付き添ってくれていること。

  • 大谷さんの食べ物文化研究室

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 ザレンさんの満月配信(https://youtu.be/mGKsGE3os-M)で紹介されていました。食べ物文化研究室ということでタイ米を炊いたり、銚子電鉄がやってる濡れ煎餅工場の見学に行ったり。
 声自体のうれしさやテンポのよさ……はもちろん受け取ったその上で。紙人形劇を参照しつつ撮影されていく「大谷さん」の独特なありかたが配信者自身に作用してみえるような上のおまけ動画なんかに私はいい風を感じます。ここで大谷さんは、紙人形劇形式のイラストの大谷さんと、その背後でお煎餅を焼く作業に取りかかる大谷さんのどちらでもあるようなんです。大谷さん(イラスト)/大谷さん(肉声)という分業的な結びつきの体制がほどけて見えてくるのは、画面の手前でくるくる顔・身体を変えながら動き回る大谷さん(イラスト)というひとの位置のふしぎさです。イラストとしての彼女が元気に跳ね回るその動きひとつひとつが、まるで背後の大谷さん(肉声)の心情を雄弁に描いているように見えてくる。と同時に、イラストとしての彼女は字幕とちからを合わせ、彼女自身また誰の代わりでもない一個の「大谷さん」であることをも伝えようとします。そんな風にして大谷さんという一個の配信者の周囲には、まさに自分自身に働きかける「大谷さん」という新しいひとが住まい出しているように見えるものです。

  • 理原ひなり

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 百合カプ好きからのいろいろな興奮の声が早くもこの動画についてあちこちで口早に交わされているし、私もつられてうかうかと見にいくだけの軽率さはまだありました。といってもこの配信者を長く時間をかけて見てきたファンではなかった私としては、誰かをそばに置く配信、というのをたしかめるばかりで。また、それほど気負わずに。ともかく「おっぱいが小さい大きいにまつわる感情的/価値論的な話題はよしたほうがいい」という抑圧から自由である話し手がここにいて、私は好感を持ちました。自発的に本人がしゃべってるから、ていうのも当然大きいんでしょうけれど。

  • アイドル部(.LIVE)

 一方で黙々と各配信を追い続けてきたゆえにあらためてなにか言う言葉がもう取り出せない……アイドル部です。たとえばピノさんのお顔の造型からいつでも口元に鮮やかに伸びるワイヤレスマイクがそこにある筈もないのに幻視してしまうことの意味や、イオリさんが右目から星のファンシーエフェクトをたわむれに飛ばしてみせた日のときめき、ちえりさんの今なお張りつめた声といった重要なことたちに億劫がらず私もなにか言うべきでしたし、(にじさんじのモイラさまにも似て)自分と同期のメンバーたちを夢想のうちに自由に遊ばせるなとりさんのありかたには遠く励まされました。すずさんの口からたまにもれる叙景性は、「霧のかかった早朝のサービスエリア」(https://youtu.be/bYP_U9HL_fw?t=1329)というこの世の地図上にある凝縮されたあの一点を歌ってくれます。

  • ヒメヒナ

 まさか研究者でもなんでもない以上、名前はよく聞くけどなんとなく見なーいっていうvtuberだっていっぱいいて、ヒメヒナも長いことそういうひとたちでした私には。見るきっかけになったのはRAGEのイベント配信で、私は今ヒメヒナに夢中だと思います。