音楽のあとがき

 あとがきとかライナーノーツをかかずにいられたなら、かっこよかったろうなと思います。作品をなにも言わず投げだすクールさには今もあこがれつつ、これくらいのわがままはゆるしてやろうか、と自分に思えたので軽くゲームのBGMについてそういうのをかいておきます。
 そう言ったあとで言うべきことじゃないかも知れないけれど、ゲームやっててBGMなんて気が散るから消しちゃうというひとの気持ち、私こそよく判るから、私のつくったゲームでも音がうるさかったら構わず消してやって欲しいと思います。もちろんみんな暗にはそうしてる筈ですし、つくったひとがわざわざこんな物言いするのはそれこそ余計で「うるさい」訳ですけれど……私の立場としてはそうです。プレイして聴いてくれたひとにはありがとう。

pandemonica.bandcamp.com

 1.シャベルゥ
 後述するようにこのゲームはアーリーアクセス版までは水車と無効票という曲しか用意してませんでした。遠慮なく閉じるゲームとしてはBGMがたった一曲というので合ってると思ったのですけど、たずさわってるうちにやっぱり曲をもっと入れてあげたくなってしまって。それでまずつくったのがこの曲じゃなかったかなと思います。使った楽器ユニットは4つだけですけど、そういう頼りなさが最初は欲しかったのだと思います。ピアノみたいに等拍で打ってるのはハープです。ピアノそのものの音色だとちょっと違ったので……。
 ゲームをするとき、主人公の名前をつけるよう求められることがあります。私はデフォルトの名前がすきです。デフォルトであれ、その子はすでに名前を持たされている訳ですから、そんなひとり者として私の前に現れてくれたゲームのひとの名前を勝手にいじりたくないから……という理由からですが、それでも、どうしても名前を入れないと進められないときは「シャベルゥ」と名前欄に入力するように、いつからかなっていきました。

 2.Nimbus through the Friendship
 アルバムでいちばん聴かれてる曲みたいです。うれしい、まあ単純に曲の長さがポップミュージックの標準に届いてる曲だからかも。最初のほうのダンサブル?なパートはずっと前に海をイメージしてつくったまま放っておいた曲を推敲したもの。ピストンコラージュは途中でBPMを変えられないので速度は後半に合わせて落としました、原曲はもうちょっと速かったんですが(http://u0u0.net/OGT8)。ハイハットのパターンはたぶんLearning to Live(Dream Theater)から。中盤からのメインテーマは妖精たちのお祭りっぽくて自分でとてもすきなだけに、終わりたくなさでエンディングがあんな感じになったようです。

 3.思いのままに
 にゃーにゃーした鳴き声入れたいな、という目標を叶えた曲。もっと気取ったタイトルが最初はついてました。こもって聞き取りにいけどなんとなくメロディーは伝わる、甘く、のたーっと催眠的に伸びてく私なりのSuperjudge(Monster Magnet)、あるいは私なりのAcid KingのLori S.、は思いえがいただけで終わりましたけど。地球をゆっくり離れるフィルムがすっと浮かぶ雰囲気だと私は思ったんですがどうでしょうか。

 4.G.O.D.F.L.E.S.H.
 Earacheでぶいぶいいわしてたころの90年代Godfleshが印象的に多用してたドラムビートをモチーフにして組み立てたのでこういう題。ゲーム内で流れる場所はべつに廃工場ではないんですがニュアンスはそんなです。時計のSEを打楽器の代わりにしたり、こわこわエフェクトを不器用に引っ張ってきたり、馴れないディレイでがんばったりしてます。もちろんもっと広げられたとは思うんですが、とりあえず。

 5.アセロラはどこいった?
 私だって四つ打ちつくれるんだから……!!!という謎の使命感で(……)。朝起きてオルガーニャからベースの音になってくれそうなの選り抜くとこから始めてお昼過ぎにはできたのをおぼえてるので即興的につくったということなのかも知れない。これも鳴き声ものでわんわんいってます。さっきまでのお話はおいといて、という疎外感に根づいた多幸感がこの曲の流れる位置を求めてたのかなと思ってます。アニメのエンディング絵とかで小さな惑星の上を歩き続けるキャラクターの。

 6.水車と無効票
 ゲームが完成する直前までBGMはこの曲だけでした。良くも悪くもこのゲームの顔みたいなものだったけど、BGMを増やすにあたってこれも大きくパートを追加したり手直しを入れたりすることになりました。後半の笛のソロはああでもないこうでもないと、苦労して打ちこんだ記憶があります。トングとかチャイムとかぴかぴかした音を主旋律の後ろに紙でつくった星座の糸みたいに置いたり……全体を通して私のだいすきな7/8拍子ということもあって、曲をかき終えてしまうのを引き延ばしたかった。また、曲をつくった順番は逆になりましたが、ここでは例の場所でのメロディーを引用してます。あの子も誰もその時代をおぼえていなくても音楽だけはおぼえてるということなのかなと思います。