阿部完市15句抄出(『阿部完市俳句集成』から──『軽のやまめ』以前)

鏡・旗・後頭部にある正確な心/阿部完市『証』


僕を売るごくごくごくと鈴飲んで/『絵本の空』


ひろがりひろがる青の信号だらけの海


ローソクもつてみんなはなれてゆきむほん


かるい百人朝空からおりてはたらく/『にもつは絵馬』


心のところに青い寺赤い寺かざる


ふたごいる白い模様をいつぱいもち


きのふけふまつかぜごつこはやるなり/『春日朝歌』


たとえば一位の木のいちいとは風に揺られる


百秒間と羽のことなど語るかな


川みているきつねのその白い運動靴


にんげんよりもばんざいと言つて葉桜


昼顔いつぱいむかしの航空隊きれい/『純白諸事』


たてまつる雨いま月いま王に山に


ゆきこふとさざんくろすというまちにゆけ/『鶏論』